Home Comforts Ⅲ
制作年: 2021
素材・技法: その他, パネル, 墨, ジェッソ, 水彩, 布, 染色, チョーク
サイズ: 64 × 36 cm
エディション: 1点物、ユニーク
サイン:あり

About the Work
- 制作年
- 2021
- 素材・技法
- その他, パネル, 墨, ジェッソ, 水彩, 布, 染色, チョーク
- サイズ
- 64 × 36 cm
- エディション
- 1点物、ユニーク
- サイン
- あり
- 額装
- なし
- 作品証明書
- あり
- 作品の販売元
- 小林 喜一郎
- 発送元地域
- 東京都
- 発送までの日数
- 3週間ほど
- カテゴリー
- 絵画
- スタイル
- 日常, 半抽象
Work Details
《Home Comforts Ⅲ》は、《Home Comforts》シリーズの最終作として、2021年上旬に制作された作品である。
コロナ禍に入り一年が経とうとしていた当時、生活が制約され、外部との関係が大きく変化する中で、身の回りにある物や環境に改めて目を向ける時間が増えた。本シリーズは、そうした日常の再認識を出発点としている。
本作で描かれているのは、押し入れに収められた掃除機と布団である。普段は目立たず、必要なときにだけ取り出され、役目を終えると再びしまわれる存在。それらは特別な意味を与えられることは少ないが、確かに日々の生活を支え続けている。本作では、そうした「使われていない時間」を含んだ日常の風景に焦点を当てている。
制作方法は《Real Clothes》シリーズを基礎としつつ、本作では下地材であるジェッソを画面右上にこすりつけるように露出させている。縁の部分には油彩を用いず、下地材に色付きチョークの粉末を混ぜた素材を塗布することで、支持体そのものの存在感を強調している。図と地、モチーフと背景の関係を反転させるこれまでの試みを引き継ぎながら、絵画の「土台」が前景化する構造を意識した。
《Home Comforts Ⅲ》は、出来事を描いた作品ではない。日々の生活の中で、気づかれないまま積み重なっていく時間や役割に目を向け、静かに留めようとする試みである。
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Artist
画家
1995年、神奈川県横浜市生まれ。1998年より愛知県岩倉市で育ち、田畑や身近な生き物に囲まれた環境の中で幼少期を過ごす。幼い頃から絵を描くことに親しみ、将来の夢は画家として個展を開くことだった。2005年、いじめをきっかけに不登校を経験し、その後、名古屋市内の小学校へ転校する。不登校期間中に手塚治虫『ブッダ』に出会い、表現と精神世界への関心を深める。2007年、仏像彫刻家・松本明慶の工房にて住み込みのワークショップに参加し、彫刻紋様など基礎的な技法を学ぶ。一時は仏像彫刻家を志すが、より広い表現の可能性を求め、美術大学への進学を決意する。2011年、家族とともに上京し、朋優学院高等学校普通科美術コース(TSA前身)に入学。高校時代には、政治的立場や価値観の違いを考える中で、同じ出来事でも立場によって異なる見え方が生まれることに関心を持つようになる。この頃は、一つの対象に潜む見えない側面を表すことを制作の主題としていた。2014年、武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻に入学。絵画に加え、パフォーマンスやミクストメディアにも取り組む。2015年、兄の死をテーマとしたパフォーマンスおよびその記録・コスチューム作品を制作し、学内個人賞を受賞する。その後も絵画以外の表現を試みながら、卒業制作を機に再び絵画へと軸足を置く。2018年、卒業制作《Real Clothes I–III》を発表。写真から抽出した画素情報をもとに布を染色し、目で見た像の描画を組み合わせることで、一つの対象に含まれる複数の側面や、記憶、知覚、素材、制作工程を絵画の構造として提示することを試みた。この制作を通して確立した、染色した布を支持体として描く手法は、以後の絵画制作の基盤となる。卒業制作をきっかけに、都内のコマーシャルギャラリーから所属作家として活動しないかとの打診を受けるが、当時すでに進路として決めていた仏画および截金の工房への弟子入りを選んだ。工房には数か月間在籍した。2020年、コールセンター勤務の傍ら制作を続け、《年賀状だけの関係が終わる。》が第22回「1_WALL」グラフィック部門ファイナリストに選出される。同作では、人間と鳥の色覚の違いを手がかりに、認識する主体によって経験される世界が異なることを扱った。2021年、SHINBI GALLERYにて初個展「こばやしけむし」を開催。2022年にはギャラリースペースくらげにて個展「Beautiful Gamers」を開催する。2023年、統合失調症を発症し入院。入院中も多数のドローイングを制作した。この経験や、人間関係における認識の食い違い、さらに哲学との出会いを通して、制作の考え方は大きく変化する。それまでの「一つの対象が持つ複数の側面」を探る制作から、「認識する主体によって異なる経験世界が立ち上がること」へと関心を移した。現在は、染色した布に描く絵画をはじめとする絵画制作、ドローイング、デジタル表現を通して、個人的な記憶、夢、精神的体験を出発点に、意味や判断、現実感がどのように形成されるのかを探求している。限定された線や色、素材の選択、反復的な制作を通して、認識によって立ち上がる世界の構造を作品化している。
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《Home Comforts Ⅲ》は、日常の中で意識されることの少ない「しまわれたもの」や「使われていない時間」に目を向けた作品です。
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