巡る
制作年: 2020
素材・技法: 和紙, 墨, その他
サイズ: 390 × 400 × 400 cm
エディション: 1点物、ユニーク
サイン:未設定





About the Work
- 制作年
- 2020
- 素材・技法
- 和紙, 墨, その他
- サイズ
- 390 × 400 × 400 cm
- エディション
- 1点物、ユニーク
- サイン
- 未設定
- 額装
- なし
- 作品証明書
- 未設定
- カテゴリー
- インスタレーション
- スタイル
- コンセプチュアル
Work Details
「 巡る 」について / TAGBOAT×百段階段 展 「頂上の間」にて現在開催中です。
現在、東京都目黒区にあります、ホテル雅叙園東京にて文化財である百段階段で展示をさせていただいているのですが、作品の解説や背景について、質問形式でお話させていただく機会がありました。
2016年東京都美術館で開催された都美セレクショングループ展「紙神KAMIGAMI -Paper is a God-」にて、来場者が参加できる「幸福連鎖御神籤(つなぐ おみくじ)」というインスタレーション作品を展示しました。「おみくじ」を引いた人が次に引く人のためにお告げを書いていくという、言葉によって繋がれていくインタラクティブなインスタレーションアートです。
この作品は2018年に台湾の「TOKYO ILLUSION 東京幻境日本當代藝術展」、さらに翌年2019年にはNYのホワイトボックスギャラリーにも出展し、継続して「おみくじ」を繋いできました。「紙の価値」と人々の記す「情報」に視点を当て、個人の「言葉」を手書きで記し「御神籤」という形態に取り入れたこのインスタレーションの参加者は、計2万人以上となります。
今回のホテル雅叙園での展示は、今まで行ってきた「幸福連鎖御神籤(つなぐ おみくじ)」で、来場者が書いた御神籤(持ち帰らずに、紐に結ばれた御神籤)を展示しています。
結果的に御神籤として書かれた一人一人のメッセージには、興味深いことに、99.9%ポジティブなメッセージが記され、驚いたのはメッセージの中にはその人の生きてきた中で感じてきたであろう哲学的な内容まで記されていました。私はこの現象をとても面白く感じました。
何故なら、普段の私生活で他人と自分との会話の間に、個々の哲学を交換し合う場は極めて少ないのではないかと感じたからです。
「幸福連鎖御神籤(つなぐ おみくじ)」で生まれた、他人と他人との繋がりは、「言葉」でしかなく、書いた本人の顔を見ることはできません。しかし、手書きで紙に書かれた個人のメッセージは、非常にその人のパーソナルな部分が映し出されるようにも感じられます。私はそこに何かしらの答えがあるように思えてなりません。
SNSが情報源として変化した現代では、それに伴う問題や事件が多く浮上しています。そんな中で個々のパーソナリティーと、人と人との繋がりは一体どのように「良質さ」を保っていくのかがテーマとなっています。
2020年の年明けより、新型コロナウイルスによって人と人との距離は社会的、肉体的、精神的にも変化したようにも感じるし、特に変わっていないようにも感じます。
「平安」、「幸福」、「知足」、「愛」などたくさんのポジティブなメッセージを、今の情勢だからこそ、書き手の見えない言葉の情緒に触れて欲しいと感じています。
言葉の深さや軽さの変化はどこから生まれるのか。それは、人が言葉を「書く」という行為から言葉を「打つ」という行為になったことによって、言葉そのものの、質量が変化したのではないかと考えます。
2019年までは「分解」をテーマとして表現してきました。
今回は、「紙の価値」に焦点を当てたとき、紙は紙だけでは価値を持たず、人が意思を記すことによって初めて価値を持つという意味を込めています。
これまでのテーマとは一変して、「再生」「生まれる」という動的な感覚を表現することとなりました。
・出展アーティスト30名のメイキング
http://tagboat.co.jp/tagboat-hyakudan...
展覧会名: 「TAGBOAT×百段階段」展 ~文化財と出会う現代アート~
開催期間: 2020年9月11日(金)~10月11日(日)
開催時間: 日~木曜日・祝日 10:00~17:00
金・土・祝前日 10:00~20:00
※入場は閉館の30分前まで
入場料: 当日¥1,600/前売¥1,500 ※9月10日まで公式オンラインチケットにて販売
学生¥500 ※要学生証呈示、未就学児無料
会場: ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」
主催: 株式会社タグボート・ホテル雅叙園東京
販売窓口: ホテル雅叙園東京(当日のみ)、公式オンラインチケット
Artist
Artist / 芸術家 / 錆和紙作家
伊藤咲穂(1989年島根県生まれ)は、山梨を拠点に活動するアーティスト。和紙による大規模な絵画制作や神社への奉納を通じて、自然と人との関わり、そして“礼拝としての芸術”の本質を探求している。
武蔵野美術大学でテキスタイルを学び、島根の石州和紙工房で修行し、“錆和紙”を発明。その後、金属・土・砂鉄・岩絵具・水干絵具を和紙に漉き込む独自の技法を確立。近年には日本画の伝統的な色彩や思想に着想を得て、独自の抽象絵画として展開している。
彼女の作品の根底には、“梵我一如”に通じる古神道的世界観——すなわち、人は自然と分かちがたく結ばれ、その恵みの上に生きているという思想がある。彼女にとって、その“人と自然を結ぶ象徴の姿”が神社である。
その土地の自然から素材を“お借りして”作品を制作し、芸術という人間的行為を通じて、その地の神=自然へと“お返しする”。この循環的行為は、自然の完全性と人間の意識的行為とのあいだに生まれる“礼拝のかたち”であり、創造とは、自然への感謝を人間の手で可視化する営みだと捉えている。
彼女にとって“水”は、生命を育み、風土を形成してきた貴重なものであり、感謝や畏れが信仰心と結びついた象徴的存在である。
伊藤は、そうした人と水との関係性を受け継ぎ、絵画の制作においても、水を単なる素材ではなく、和紙や岩絵具と並ぶ重要なマテリアルとして扱っている。制作の最終工程では、“落水”と呼ばれる和紙の伝統技法を用い、水を作品の上に撒くことで、風土と身体の交感を痕跡として刻む。
伊藤の活動は、神道美術における“見えないもの”を描こうとする精神の現代的継承である。神道では、神は姿を持たず、影や自然の現象を通じて顕れるとされる。伊藤はこの思想を抽象絵画として再解釈し、西洋美術における抽象表現主義と対話させながら、日本的霊性を現代の造形言語へと昇華させている。
人間は自然の一部でありながら、自然を敬い、感謝し、返礼し得る存在である。その意識の循環を芸術という形に結晶させること。それが、伊藤咲穂の芸術であり、神道の精神と現代美術の接点である。
2023年に出雲大社へ《命の礼拝》を奉納。2024年にはホテルJANU TOKYOに《青の礼拝》シリーズが常設展示されるなど、国内外で活動の幅を広げている。
























読んで頂きありがとうございます。
私が普段制作で使用する原料は、島根県で栽培された和紙の原料(楮)と、海岸で採取した砂鉄などを主に使っています。それは、産み出した作品がいつか土へと還ることができる、循環していけるようなシステムとしたいからです。表現の手法はインスタレーションが多く、今までの国内外の美術館や、ギャラリーで展示して参りました、毎回、資金を捻出するのには頭を悩ませるところです。そのため、支援して頂いた資金は次なるインスタレーション作品の材料費や展示に関わる費用に使わせていただき、アーティストととしての仕事に尽くしたいと思います。どうぞサポートのほどよろしくお願いいたします。