こばやしけむし Ⅴ
制作年: 2021
素材・技法: アクリル, パネル, ミクストメディア, ジェッソ, 水彩, パステル, グアッシュ, 布, 染色
サイズ: 36 × 20.3 cm
エディション: 1点物、ユニーク
サイン:なし

About the Work
- 制作年
- 2021
- 素材・技法
- アクリル, パネル, ミクストメディア, ジェッソ, 水彩, パステル, グアッシュ, 布, 染色
- サイズ
- 36 × 20.3 cm
- エディション
- 1点物、ユニーク
- サイン
- なし
- 額装
- なし
- 作品証明書
- あり
- 作品の販売元
- 小林 喜一郎
- 発送元地域
- 東京都
- 発送までの日数
- 3週間ほど
- カテゴリー
- 絵画
- スタイル
- コンセプチュアル, 半抽象, 日常
Work Details
《こばやしけむし Ⅴ》は、家族アルバムの中に残された古い写真を起点に、絵画の構造や記憶との距離を探る《こばやしけむし》シリーズの一作である。写真に写っているのは、かつて確かに存在していたはずの出来事や人物だが、作家自身の記憶とはほとんど結びついていない。「写真としては残っているが、記憶としては手応えのない」イメージが、本作においても参照されている。
本作では、画面の中心に置かれた「図」と、それを縁取るアクリルガッシュで塗られた額縁状の「地」との対比が引き続き用いられている。支持体となる布は作家自身の手で染められ、描画材の定着のためにドウサが施されている。形態は透明水彩と三角チャコによって描かれ、線の仮設性や下書き性が画面に残されている。
Ⅴでは、シリーズ初期に用いられていた描線の性質があらためて取り込まれ、これまで反復されてきた方法が静かに再接続されている。写真から抽出された形態は、具体的な物語や感情を説明するものではなく、記憶と記録のあいだに漂う不確かな気配の痕跡として、かろうじて像を結んでいる。
《こばやしけむし Ⅴ》は、完結へと向かうシリーズ後半に位置する作品として、これまでの構造をなぞり直しながら、「私」と「像」との距離がどのように保たれ、揺れ動きうるのかを静かに確かめる試みである。
View in a Room
How to Buy
この作品は購入が可能です。
¥88,000
ウェイティングリストに登録
ウェイティングリストに並び、自分の順番が巡ってくると、購入可能な作品をご案内させて頂きます。
チャットで作品購入相談
アート専門のコンシェルジュがあなたの作品購入をお手伝いします。おすすめの作品のご提案、購入でお困りのこと、なんでもご質問ください。
Artist
画家
1995年、神奈川県横浜市生まれ。1998年より愛知県岩倉市で育ち、田畑や身近な生き物に囲まれた環境の中で幼少期を過ごす。幼い頃から絵を描くことに親しみ、将来の夢は画家として個展を開くことだった。2005年、いじめをきっかけに不登校を経験し、その後、名古屋市内の小学校へ転校する。不登校期間中に手塚治虫『ブッダ』に出会い、表現と精神世界への関心を深める。2007年、仏像彫刻家・松本明慶の工房にて住み込みのワークショップに参加し、彫刻紋様など基礎的な技法を学ぶ。一時は仏像彫刻家を志すが、より広い表現の可能性を求め、美術大学への進学を決意する。2011年、家族とともに上京し、朋優学院高等学校普通科美術コース(TSA前身)に入学。高校時代には、政治的立場や価値観の違いを考える中で、同じ出来事でも立場によって異なる見え方が生まれることに関心を持つようになる。この頃は、一つの対象に潜む見えない側面を表すことを制作の主題としていた。2014年、武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻に入学。絵画に加え、パフォーマンスやミクストメディアにも取り組む。2015年、兄の死をテーマとしたパフォーマンスおよびその記録・コスチューム作品を制作し、学内個人賞を受賞する。その後も絵画以外の表現を試みながら、卒業制作を機に再び絵画へと軸足を置く。2018年、卒業制作《Real Clothes I–III》を発表。写真から抽出した画素情報をもとに布を染色し、目で見た像の描画を組み合わせることで、一つの対象に含まれる複数の側面や、記憶、知覚、素材、制作工程を絵画の構造として提示することを試みた。この制作を通して確立した、染色した布を支持体として描く手法は、以後の絵画制作の基盤となる。卒業制作をきっかけに、都内のコマーシャルギャラリーから所属作家として活動しないかとの打診を受けるが、当時すでに進路として決めていた仏画および截金の工房への弟子入りを選んだ。工房には数か月間在籍した。2020年、コールセンター勤務の傍ら制作を続け、《年賀状だけの関係が終わる。》が第22回「1_WALL」グラフィック部門ファイナリストに選出される。同作では、人間と鳥の色覚の違いを手がかりに、認識する主体によって経験される世界が異なることを扱った。2021年、SHINBI GALLERYにて初個展「こばやしけむし」を開催。2022年にはギャラリースペースくらげにて個展「Beautiful Gamers」を開催する。2023年、統合失調症を発症し入院。入院中も多数のドローイングを制作した。この経験や、人間関係における認識の食い違い、さらに哲学との出会いを通して、制作の考え方は大きく変化する。それまでの「一つの対象が持つ複数の側面」を探る制作から、「認識する主体によって異なる経験世界が立ち上がること」へと関心を移した。現在は、染色した布に描く絵画をはじめとする絵画制作、ドローイング、デジタル表現を通して、個人的な記憶、夢、精神的体験を出発点に、意味や判断、現実感がどのように形成されるのかを探求している。限定された線や色、素材の選択、反復的な制作を通して、認識によって立ち上がる世界の構造を作品化している。
アーティスト情報を見る






































《こばやしけむし》シリーズは、家族アルバムに残された「記憶にない写真」を起点に、絵画の構造や記憶との距離を探るために制作された連作です。本作《こばやしけむし Ⅴ》は、完結へ向かうシリーズ後半に位置する一作として生まれました。いただいたご支援は、作品の記録・アーカイブ、保存環境の整備、そして発表準備や次の制作へ向かうための基盤として大切に使わせていただきます。作品を通して生まれる静かな関係が、今後の表現につながれば嬉しいです。