Reborn11(IBI Nanno-mikan)

Year: 2016

Material/Technique: Canvas, Oil

Size: 1300×3240mm(概算P500号。F100号×2)

Edition: Unique

Signed:Not Set

Reborn11(IBI Nanno-mikan)

About the Work

Year
2016
Material/Technique
Canvas, Oil
Size
1300×3240mm(概算P500号。F100号×2)
Edition
Unique
Signed
Not Set
Frame
Not Included
Work Certificate
Not Set
Category
Painting
Style
Geometry

Work Details

『Reborn11(IBI Nanno-mikan)』の振り返り

石川県金沢市の三大観光地の一つ「東茶屋街」からもほど近い、橋場町に位置するシェア型リノベーションホテル HATCHi(ハッチ)のロビーに飾られている(でもたまに飾られていない)油絵がこれである。通称ミカン。この絵のモチーフとなった「南濃みかん」は、岐阜県揖斐郡にある友人S氏の親類の家の庭先に生えている姿をみて感動し、その時撮影した写真が元となっています。僕は北海道の宗谷地区出身で、本州に移住するまで、あまり果樹を庭先で見る機会がなかったから、栗、柿、柑橘類などの樹を見かけると人一倍興奮してしまうのです。

『Reborn』というのは2012年(10年前!)、大学院の修了制作時に始めた「グッときた植物をでっかく油絵で描く」という事のみがルールの、タブローシリーズです。当時自分の作品の方向性と成長性に悩んでいた僕は「これじゃなんの為に大学院まで進学したのかわからん。」と思い至り、人物モチーフ、素早い運筆と輪郭線、ドットやパターン等のデザイン、など、それまでの自分の作品を構成するあらゆる要素をすべて禁止し、その上で、それでも描ける絵画を志向した末、産まれ出てきたのが、このシリーズでした。道端で見かけたヨメナの花を美しく思い、理屈ぬきでこれを描きたいと思い、だから描いた。という素朴極まりないメンタリティでこの絵を描いた一方で、「花」という、凡ゆる分野の芸術表現の中で常に扱われてきた、古今東西、老若男女、素人から玄人まで、幅広く受け入れられる、(誤解を恐れず言えば)なんの変哲もないこの安全なモチーフを主題に、自分は果たして何を表現できるのかしら?というチャレンジ精神もありました。2022年現在、このシリーズは習作をのぞき、13点存在します。

修了制作後の3年ほど集中的にこのシリーズに取り組んでいましたが、短期間に描き過ぎ、その結果自分自身でも食傷状態に陥った為、2015年以降の制作頻度は年に一枚描くか描かないかに落としています。

実を言うと、ここ最近までこのシリーズに対して、僕自身の心には陰りと迷いがありました。それは「グッときた植物」という描画条件設定もそうですが、もしかしてこれは単なる網膜刺激主義的な画題に過ぎないのではないか?という疑いがあったからです。お花という「綺麗なもの」の代名詞が持つ大衆迎合的魔力に飲み込まれているのでは?と。

けれども今はもうその悩みはなく、ほぼ完全に解決しました。ある洋画家の回顧展で壁に陳列された数々の絵画をみて、ぼくは、「ああ絵画というのは画家の生涯というタイムラインに、ぽつぽつと現れるサムネイルなのだな。」と理解したのです。近藤聡乃先生の『ニューヨークで考え中』3巻収録の『付箋』には「(作品が)...それぞれ記憶の目印になっているのだった。(・・・まるで記憶に張り付けた付箋みたいだな)」という台詞があるのですが、まさにそんな感じ。当初、このシリーズのタイトルは「シリーズ名+ナンバー」だけでしたが、いまは末尾に(見た土地名+植物の種類名)を加える事にしています。Rebornは僕、がそういえばあの時、あの町であの植物を見たんだよな、という移動と発見の記録であり、人生の栞のような物なのです。だから僕がどこかへ出かける限り、このシリーズは今後も緩やかに続いていく可能性があるのです。

写真:奥祐司

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菊谷達史
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菊谷達史
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菊谷達史

グラフィックアーティスト

1989年北海道生まれ。石川県金沢市にある金沢美術工芸大学で油画を学んだ後、同地を拠点に活動。(日本近代洋画、ビデオゲーム、北海道といった複数のルーツを混色しながら)タブローを中心に制作、現代美術分野で発表。2020年よりアニメーションの制作も開始。

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Last updated date
01.15.2022