サンサーラ / saṃsāra

Year: 2019

Material/Technique: Silk, Ink, Acrylic, Others

Size: 280 x 37.5cm

Edition: Unique

Signed:Not Set

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サンサーラ / saṃsāra

About the Work

Year
2019
Material/Technique
Silk, Ink, Acrylic, Others
Size
280 x 37.5cm
Edition
Unique
Signed
Not Set
Frame
Not Included
Work Certificate
Not Set
Category
Painting
Style
Japanese Painting / Japanese Style, Society / Politics / History
Hashtag

Work Details

サンサーラ / saṃsāra
コンセプト

蚕がつくる繭から糸が挽かれ、糸が織られて絹の織物になる。仕立てられて着物になり、それは代々受け継がれて着こなされてきた。幾星霜の時の流れに絹の歴史が紡がれて、それは今に繋がり生まれ変わる。 繭の輪廻みたいなイメージです。着物の裏地として使われていた正絹を錆びで染めたものに描きました。

制作のなかで

サンサーラ / saṃsāra 第一弾目の作品は、

2019年の年の瀬、アートコレクターの友人から、パーティーで開催するオークションに

制作と出品の依頼があった。そこで開催されるオークションは、アーティストが会場内で制作し

パーティーの終盤にオークションを行うというもので、アーティストと来場者が作品を通じで交流しながら作り上げていく。

オークショニアは、元サザービーズの代表の方が務めるため毎年この時間はメインイベントとなっている。

お酒も手伝って、賑やかな音楽と共に会場は盛り上がっている。

気持ちの良い音楽と共に、何を描こうかイメージを巡らせていた。

他のアーティスト達も各々の制作に取り掛かっている。

私は気がつくと錆で色付けた正絹の生地に、円を描いていた。

ぐるぐる、ぐるぐると円を描いているうちに、まるでマニ車(マントラを唱えながらマニ車を時計(右)まわりに一回まわすと一回経文を読誦したのと同様の功徳を得、罪障が消滅するといわれている)を回しているような瞑想状態に入った。

わたしは、大学で蚕の繭玉から糸を紡いだ記憶を思い出していた。

繭玉が、湯で熱され、特有の香りが立ち、プカプカと大鍋に浮いている。

熱々の繭玉から、キビソと言われる蚕の外の繊維から繊維質を摘んで、糸を紡いでいく。

蚕が吐いた糸を今度は人が解きほぐしていくのだ。4~5㎝ほどの白い繭玉の中に重みを感じるのは、

繭玉の中には死んだ、蚕の死骸があるからだ。

成虫になれなかった、蚕の無念を感じるようだった。

一匹の蚕からは約1300m〜1500mほどの天然繊維が取れる。

吐き出された、タンパク質繊維はわずか0.02mm。光にあたるとわずかに光るその繊維はとても

美しく、光沢がある。そしてその絹糸が、反物になり流通と共に世界に渡っていく歴史を思った。

この絹は、何処からきて、何処へいくのだろう。

会場内で完成した作品は、わたしの手をはなれ、別の方のもとへと渡っていったのである。

このシリーズは続けていきたいと思っている。

着物文化の衰退と、絹の価値

この作品に使用している正絹は、着物の袷(あわせ)と呼ばれる仕様の、裏地に使われていた絹生地なのだが、それを素材として用い始めたのはこんな経緯からだった。

あるとき、着物の仕立てなどをされている知人と話しているとこんなことを憂いていた。

「着物を仕立て直すときに、絹の裏地を新しいものに取り替えるのだが、古い生地は使い道がない。

昔は、古い生地も他の着物に使い回していたけど、今は着物の需要がほとんどないので、そうゆうこともしない。お蚕さんがせっかく命を犠牲にして作ってくれた糸なのに、申し訳なく思う」

と、伺うと着物の裏地に使っていた古い正絹は、大量に出るため、処分することもあるという。

生地を拝見させていただくと、少しシミのあるものもあるが、しなやかで光沢のある、美しい生地だった。

早速、買い取らせてもらい、自身の作品に落とし込めないか実験を試みた。

すると、絹は美しく鉄や銅の錆に染まり、和紙とは違う滑らかさと柔らかさをもつものとなった。

太陽光に透け、風に舞う生地
制作途中

こちらのシリーズは、インスタレーションでの表現も構想中。

Artist

伊藤咲穂
✔︎

伊藤咲穂

Artist / 芸術家 / 錆和紙作家

伊藤咲穂(1989年島根県生まれ)は、山梨を拠点に活動するアーティスト。和紙による大規模な絵画制作や神社への奉納を通じて、自然と人との関わり、そして“礼拝としての芸術”の本質を探求している。

武蔵野美術大学でテキスタイルを学び、島根の石州和紙工房で修行し、“錆和紙”を発明。その後、金属・土・砂鉄・岩絵具・水干絵具を和紙に漉き込む独自の技法を確立。近年には日本画の伝統的な色彩や思想に着想を得て、独自の抽象絵画として展開している。

彼女の作品の根底には、“梵我一如”に通じる古神道的世界観——すなわち、人は自然と分かちがたく結ばれ、その恵みの上に生きているという思想がある。彼女にとって、その“人と自然を結ぶ象徴の姿”が神社である。

その土地の自然から素材を“お借りして”作品を制作し、芸術という人間的行為を通じて、その地の神=自然へと“お返しする”。この循環的行為は、自然の完全性と人間の意識的行為とのあいだに生まれる“礼拝のかたち”であり、創造とは、自然への感謝を人間の手で可視化する営みだと捉えている。

彼女にとって“水”は、生命を育み、風土を形成してきた貴重なものであり、感謝や畏れが信仰心と結びついた象徴的存在である。
伊藤は、そうした人と水との関係性を受け継ぎ、絵画の制作においても、水を単なる素材ではなく、和紙や岩絵具と並ぶ重要なマテリアルとして扱っている。制作の最終工程では、“落水”と呼ばれる和紙の伝統技法を用い、水を作品の上に撒くことで、風土と身体の交感を痕跡として刻む。

伊藤の活動は、神道美術における“見えないもの”を描こうとする精神の現代的継承である。神道では、神は姿を持たず、影や自然の現象を通じて顕れるとされる。伊藤はこの思想を抽象絵画として再解釈し、西洋美術における抽象表現主義と対話させながら、日本的霊性を現代の造形言語へと昇華させている。

人間は自然の一部でありながら、自然を敬い、感謝し、返礼し得る存在である。その意識の循環を芸術という形に結晶させること。それが、伊藤咲穂の芸術であり、神道の精神と現代美術の接点である。

2023年に出雲大社へ《命の礼拝》を奉納。2024年にはホテルJANU TOKYOに《青の礼拝》シリーズが常設展示されるなど、国内外で活動の幅を広げている。

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私は芸術の力を信じています。
それは本当に切実なもので、嘘の情報も、本当の情報も混ぜこぜになっているこの時代に、想像力の劣化はいよいよ私たちに痛みを感じなくさせ、一時的で断続的な快楽は脳を使わずとも生きていけるようになりつつあります。
私の周囲には雨の中に何時間も佇む人や、感情がむき出しになって、本気で人と人との繋がりを渇望する人がいる。そこには合理性もなければ、論理もない。
私たちの創造性や想いや生き方が、綺麗事ではなく、何かの形で、物事は変わりえるのだとおもいます。
多様な価値観や、感性を、許し、敬い、愛おしみ、ただただ与えられた個の生を全うすることができたら、どんな時代でも、本当のことに気づけるのではないかと感じています。

いただいた貴重な資金は、次に動き出しているプロジェクトや、制作にかかる材料費に使わせていただきます。

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Popular Comments

gion1982

Gion has sent
Red Sticker.

about 6 years ago

かつて果てしなく続いた青い砂漠が蘇ったようだ。この白銀のの小川に流れる美しき生命を感ずる。そして神々の瞳より流れるその涙を私はこの上なく愛している。

MasashiMochizuki

望月 雅志 has sent
Blue Sticker.

about 6 years ago

ぐるぐるぐるぐる廻る。ブッダガヤの菩提寺で坐禅を組んだ時の事を思い出した。

Last updated date
07.20.2020