黙
Year: 2013
Material/Technique: Wood, Others
Size: 980 × 4000 × 2 mm
Edition: Unique
Signed:Not Set

About the Work
- Year
- 2013
- Material/Technique
- Wood, Others
- Size
- 980 × 4000 × 2 mm
- Edition
- Unique
- Signed
- Not Set
- Frame
- Not Included
- Work Certificate
- Not Set
- Category
- Installation
- Style
- Japanese Painting / Japanese Style
Work Details
作品 [ 黙 ] について
現代人は喋り過ぎてはいないか。
心と脳が乖離していやしないか。
黙ること、それは閉ざすことではなく内に開けるということ。
礼拝堂という建築空間を媒体とし、その開口部に設けたカーテンのあり方を探る。日本人はたとえ、死後に入るお墓があったとしても、普段の私生活ではほとんど意識されることはなく、特定の宗教を持たない無宗教に近い人が多くいる。また、様々な宗教を受け入れ、独自の行事を生み出してきたが、それを信仰と言うにはあまりにも虚仮である。人間の「祈る」という行為の場において、必ずと言っていいほど「光」の存在は人々にとって強い意味を持ってきた。
「光と闇」より光がなければ建築に空間は生まれない。
だから空間の成立にとって光の存在は根源的な問題である。
そしてその光は、ただ存在するだけのものではなかった。
光の存在のあり方には、常に社会的な意味合いが付与されてきたといってよいだろう。
それは宗教的であったり政治的であったり思想的であったりするものであり、その背景にはさらに、それぞれの時代の技術革新さえも見えてくる。
言い換えれば光は建築と社会を繋ぐ媒体であるといえるだろう。
星空を見上げる静寂に包まれた闇のなかで星空を見たことがあるだろうか。
時代は進み、夜になっても街から明かりが消えることはなくなってしまった。
都会では殆ど数えるほどしか星を見ることが出来ない。しかし人間は古代から夜空を見上げては祈り、夢を見ては学問を築いてきたのである。そして、この巨大に広がる星空の下で自らの存在の小ささを知っただろう。無限大に広がる宇宙の夜空に魅る光は、人の精神をあるべき姿へと戻していくのではないか。すべての宗教を超え、人種を超え、その空間に佇んだ人が日常の騒がしさから切り離され、心を静かに瞑想したり、沈黙、黙祷できる場を提案する。意識的に動いていた内面の状態を無意識の領域へ。
この作品は、幼少期に過ごした記憶を作品に起こしたものです。
私は小さい頃よく星を見に一人で出かけていました。家から数十メートルも歩けば、道路は真っ暗で、電灯は遠くに小さく見えるようなところに住んでいました。帰るときの目印は家から漏れる窓明かりを頼りに進みます。
人と上手く話すことが出来なかった日は大抵一人で星を見に出かけていました。そんな時、私は小さいながらも静かに、静かに祈りを捧げていたような記憶があります。誰に祈りを捧げていたのでしょう。でも、それは人類のDNAに刻まれた記憶のような気がしました。
宗教を越えて、人が祈るという行為を美しいと感じます。黙祷をすることも、自然の力に畏れることもそれに繋がっているんだと感じました。それは幼少期から変わることなく私自身の軸となっています。
将来、こんな空間を建築と共に作り上げて見たいと思っています。
・下記URLより制作やアーティストとしてのインタビューに答えさせて頂いております。
・下記URLよりアート制作についての詳細をご覧いただけます。
Exhibition Information
- Past Exhibitions
- バーチャル背景ミュージアム04.20.2020 - 06.30
Artist
Artist / 芸術家 / 錆和紙作家
伊藤咲穂(1989年島根県生まれ)は、山梨を拠点に活動するアーティスト。和紙による大規模な絵画制作や神社への奉納を通じて、自然と人との関わり、そして“礼拝としての芸術”の本質を探求している。
武蔵野美術大学でテキスタイルを学び、島根の石州和紙工房で修行し、“錆和紙”を発明。その後、金属・土・砂鉄・岩絵具・水干絵具を和紙に漉き込む独自の技法を確立。近年には日本画の伝統的な色彩や思想に着想を得て、独自の抽象絵画として展開している。
彼女の作品の根底には、“梵我一如”に通じる古神道的世界観——すなわち、人は自然と分かちがたく結ばれ、その恵みの上に生きているという思想がある。彼女にとって、その“人と自然を結ぶ象徴の姿”が神社である。
その土地の自然から素材を“お借りして”作品を制作し、芸術という人間的行為を通じて、その地の神=自然へと“お返しする”。この循環的行為は、自然の完全性と人間の意識的行為とのあいだに生まれる“礼拝のかたち”であり、創造とは、自然への感謝を人間の手で可視化する営みだと捉えている。
彼女にとって“水”は、生命を育み、風土を形成してきた貴重なものであり、感謝や畏れが信仰心と結びついた象徴的存在である。
伊藤は、そうした人と水との関係性を受け継ぎ、絵画の制作においても、水を単なる素材ではなく、和紙や岩絵具と並ぶ重要なマテリアルとして扱っている。制作の最終工程では、“落水”と呼ばれる和紙の伝統技法を用い、水を作品の上に撒くことで、風土と身体の交感を痕跡として刻む。
伊藤の活動は、神道美術における“見えないもの”を描こうとする精神の現代的継承である。神道では、神は姿を持たず、影や自然の現象を通じて顕れるとされる。伊藤はこの思想を抽象絵画として再解釈し、西洋美術における抽象表現主義と対話させながら、日本的霊性を現代の造形言語へと昇華させている。
人間は自然の一部でありながら、自然を敬い、感謝し、返礼し得る存在である。その意識の循環を芸術という形に結晶させること。それが、伊藤咲穂の芸術であり、神道の精神と現代美術の接点である。
2023年に出雲大社へ《命の礼拝》を奉納。2024年にはホテルJANU TOKYOに《青の礼拝》シリーズが常設展示されるなど、国内外で活動の幅を広げている。
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私が普段制作で使用する原料は、島根県で栽培された和紙の原料(楮)と、海岸で採取した砂鉄などを主に使っています。それは、産み出した作品がいつか土へと還ることができる、循環していけるようなシステムとしたいからです。表現の手法はインスタレーションが多く、今までの様々な国内外の美術館や、ギャラリーで展示をして参りましたが、販売に結びつきにくい表現のため毎回資金を捻出するのには頭を悩ませるところです。そのため支援して頂いた資金は次なるインスタレーション作品の材料費、展示に関わる費用に使わせていただき、アーティストととしての仕事に尽くしたいと思います。どうぞサポートのほどよろしくお願いいたします。