壁画1 “THEORIA” では風景画を描き、壁画2 “A Fisherman” では人物画を描いてきました。
ですので、今作の壁画3では静物画を描きたいなと前々からぼんやりと考えていました。
そして静物画について調べていくとその起源は、イタリア・ポンペイの壁画にあるとわかりました。
その壁画はなんと、客人を迎え入れる部屋の壁に描かれるフルーツや魚などの贈り物についての絵が描かれた壁のことを指していました。
今回私は”ブーケ”の経験からこれまで私がたくさんの住民の方々に頂いてきたモノを構成して静物画の壁画を描きましたが、実はそこには美しすぎる因果の裏付けがありました。
また、滞在中にはたくさんの方から様々なお話しを伺います。その中でもこの土地に関わる歴史の話は大変興味深いテーマが多くありました。
そのようにして伺った、この地方にも多く存在した潜伏キリシタンの歴史や、西南戦争で負けた薩摩軍が雄勝石を掘削する石工として働いていたという史実についても、モチーフに絡めて描かせていただきました。
例えば、薩摩郡はさつまいも、キリシタンについては雄勝町にも深く関係する支倉常長の衣装の刺繍のススキを抜粋し絵の中に登場させました。
という具合に、他にもいくつかのモチーフに意味を絡めながら描いていますので、ぜひ探してみてください。
この壁画はプロジェクト2期目に制作しましたが、昨年からの1年間で感じたことがあります。
それは「此処での制作が纏う時間は、長い芸術史、ひいては人類史の時間軸と共にある」そんな規模の仕事だということ。
現代的なスピード感覚とは対照的なそれに、私は芸術家として救われているという自負さえあります。
これからも真摯に土地と歴史に向き合いながら、じっくり作品を此処に土着させることに集中し制作を続けていきたいと考えております。
まだまだ始まったばかり、期は黄金色に輝きだした黎明です。





