



About the Work
- 制作年
- 2020
- 素材・技法
- 塗料, 木
- エディション
- 未設定
- サイン
- 未設定
- クレジット
- 【制作協力】 高遠第二第三保育園と地域の未来を考える会 高遠に住む皆様 東京藝術大学 【写真】 高橋博正(山の上スタジオ)
- 額装
- 未設定
- 作品証明書
- 未設定
- カテゴリー
- プロジェクト
- スタイル
- 日常
Work Details
高遠バス停アートについて
2019年3月から2020年9月まで、長野県伊那市高遠町のバス停をアート作品にするプロジェクトを行いました。生活に根付いた空間に芸術作品を置くことで、住民がより身近にアートを楽しむ機会を提供することを目的とした地域活性化プロジェクトです。
ジェイアールバス関東の伊那支店の藤沢から茅野線の、39個ある停留所のうちの、待合がある23個をリノベーションし、アート作品へと変えました。22か所は待合本体の塗り替えを、1か所には作品を設置しています。
制作物全体のテーマは、高遠石工の石仏のように、地域を見守る存在を作ることです。高遠の地域には、江戸時代より、石を掘り、石仏や石塔を制作する石工職人が活躍していました。バス停が高遠の石仏のように、藤沢線沿いから、住民を見守るような存在になってほしいと願いを込めています。また、全てのバス停を、住民の取材を基にひとつひとつ違うデザインを施しました。それぞれのバス停のテーマを決める際は、住民の視点に立ち、「桜」や「城」といった観光業で多用されるモチーフを避けています。これは地域への取材や交流から、すでに桜と歴史という大きな観光資源があること、経済的な利益よりも、町全体が一体となり、活性化することが求められていると感じたからです。
制作は、自分の他にアシスタントの友人、「高遠第二第三保育園と地域の未来を考える会」の全面協力のもと行われました。
制作過程
2019年3月27日に高遠で最初の打ち合わせが行われ、博物館の学芸員にインタビューを行い、高遠という地域について理解を深め、バス停のコンセプトを検討しました。その後の半年間は、作品の規模とデザイン、予算、許可の取り方、地元の方への取材、進め方について打ち合わせを繰り返し、2019年10月から制作を開始しました。2019年の10月から2020年の1月にかけては、半月以上高遠に滞在し、制作を続けました。寒さが厳しくなる2月は、千葉の自宅でバス停に置く座布団や作品のパーツを制作しました。2020年の3月からは、滞在中に新型コロナウイルスが蔓延し、自宅のある千葉への移動を控えたため、図らずも6月まで滞在することとなりました。
その後9月に最後となる高遠小学校前のバス停の制作を終え、完了しました。写真は改装前のバス停の様子と、当時の制作記録です。
制作場所と食事
制作期間中は「塩供の家」と呼ばれる古民家を使用しました。築100年以上の歴史を持つこの家は、風呂場とトイレ、一階と二階の部屋の一部がリフォームされ、東京藝術大学と「未来を考える会」が交流する場所としてワークショップや交流会が行われていました。玄関は土間になっていて、二階にある屋根裏部屋は、かつて養蚕に使われた天井の高い空間が広がり、反対側の廊下の突き当たりには階段があり、離れへと繋がっています。夏は冷房が不要なほど涼しいけれど、冬は寒く、一部屋につき石油ストーブ2台を使用するほどでした。お風呂は外にあるボイラーに灯油を入れて使っていました。12月には寒気により室外の水道管が凍り破裂し、この状況を踏まえ、1月は知り合いの陶芸一家の住居の一部屋を借りて住み込みで制作しました。
制作場所には離れと土間、ふすまを取り外した一階の部屋を使用しました。土間では木材を切り、安全確保のために離れで塗装を行い、部屋と廊下では組み立てを中心に行いました。天気がいい日は日当たりのいい駐車スペースで作品を乾かしました。油性のペンキは一斗缶で購入し、離れで調色して持ち出しました。ペンキを車で野外に持ち運ぶために、住民から2リットルのペットボトルを収集し、加工して使用していました。
毎日昼食と夕食は「未来を考える会」で知り合ったお宅にお邪魔して食事をしていました。中にはパン屋をしているお母さんもおり、新鮮なサンドウィッチや、地元の野菜を使った食事をたくさんいただきました。制作している中でも、飲み物や採れたての野菜や林檎などたくさんの食べ物をもらい、力になっていました。
作品に込めた願い
取材を終えたときに、バス停のコンセプトを、高遠の石仏や道祖神の文化を反映した、町の人を見守る建造物にしたいと考えました。抽象的な生きもの、大きなものが町全体を見ていることをテーマに作品を作ることは、石工の歴史を持つ高遠で、行う意味のあるプロジェクトだと思ったからです。
一つ一つのバス停のテーマについては、地域に住んでいる子供の好きなものや、関心のあるものにしました。これは出来上がった作品を、身近に感じて欲しいと考えたからです。この理由は、私自身が高遠に取材を重ねるにつれ、滞在中にあった出来事や交流をきっかけに、高遠をより身近に感じる経験をしたことにあります。観光地の視点だけではない、その土地の生活の豊かさや面白さに触れたことで、地域への愛着や関心を抱くきっかけは、普段の生活にあると思い至りました。
写真のバス停は「松倉」のバス停です。このバス停の近くに住む男の子に楽しかった思い出を聞いた時に、学校行事の音楽会が楽しかったと答えてもらったため、ステージをイメージした内装と小さな太鼓を制作しました。また、山の上の施設を利用する人や、入山する人が通ることが多いと知り、「音楽会をしてお出迎えをしている」という全体のテーマを決めました。壁面の作成、壊れかけのゴミステーションの修復も行いました。
広報活動
制作活動中にラジオの取材で知り合った西村容子さんが代表を務める「長野tube」主導のもと、バス停を紹介する動画が制作されました。コンセプトなどを説明しています。
協力
・平成31年度伊那市高遠町ふるさと創生活動支援金「芸大生によるバス停アートプロジェクト」
・東京藝術大学「I LOVE YOU」プロジェクト2020 「伊那市高遠バス停アートプロジェクト」























