My Beautiful People
Year: 2020
Material/Technique: Photograph
Size: プリントは各サイズに対応
Edition: Edition Available
Signed:Not Set

About the Work
- Year
- 2020
- Material/Technique
- Photograph
- Size
- プリントは各サイズに対応
- Edition
- Edition Available
- Signed
- Not Set
- Frame
- Not Included
- Work Certificate
- Not Set
- Category
- Photograph
- Style
- Portrait
Work Details
My Beautiful People
僕は、子どもの頃からレンズ越しに家族や友達の顔を見るのが好きだった。レンズ越しに見る人々はいつもとは少し違って見えるからだ。普段は怒ってばかりの近寄りがたいおじいさん。レンズ越しに見えるおじいさんの目は少し恥ずかしそうに笑っていた。僕がポートレイトをメインに撮っているのは、そんな人々の美しい表情や優しさを写したいと願っているからかもしれない。COVID-19がまだ猛威を奮っている中で、以前の様に街に出て声をかけて写真を撮ることができなくなった。過去に僕が撮った人々の写真を見た。その写真を撮った時には普通に出来ていたことが出来なくなるなんて思いもしなかった。当たり前の日常がこんなにも大切で輝いていたなんて気づかなかった。僕はこんなに美しい人々に出会って、素敵な写真を撮らせてもらっていたことに改めて感謝した。
17歳の夏、僕はジャマイカへと旅に出た。キングストンのゲットー近くに借りた家は、断水のため水が出ず、エアコンもなく安全のため窓も開けられない。毎朝市場に水を買いに行っているとローカルの知り合いが出来た。観光地でも無い場所に写真を撮りにきたアジアの少年に興味を持った人たちが、自分の家へ招待してくれたりした。
この写真は、夜中の路上でブルーマウンテンから薬草を売りにきた女性からしつこく接客を受けていた時に撮った一枚だ。この薬を飲むと100年生きると言われたが、強烈な臭いが漂っていてとても飲む気にはなれなかった。
福岡県の相島で出会った97歳のおばあちゃん。僕が「おばあちゃん、昔は島のマドンナだったでしょ?」と言うと、この笑顔を見せてくれた。僕はいつも写真を撮らせてもらうと、できるだけ写真を渡すようにしているのだが、この日は最終の船に乗り遅れそうになったため連絡先も聞けずに帰ってしまった。後日おばあちゃんの写真をプリントして島に渡った。おばあちゃんの名前も知らなかったけれど、写真を見せればきっと誰かがわかるはずだと思った。
しかしなぜかその日に限り誰にもすれ違わない。島の中を当てもなく歩いていると、道に面した家の縁側でおばあちゃんが日向ぼっこをしているのが見えた。僕は走っておばあちゃんに写真を渡しに行った。おばあちゃんのご家族や近所の人達も写真を見に来て、みんな喜んでくれた。やはりおばあちゃんは、97歳になっても島のマドンナだった。
僕の生まれ育った北九州は、昔は鉄の町として知られていた。最近では、ド派手な成人式が全国ニュースで毎年取り上げられている。ネット民からは「修羅の国」なんて呼ばれたりもしているが、僕は北九州は独自のカルチャーを育んできたユニークな街だと思っている。成人式のために何年も前から衣装や旗の準備を始め、晴れの日を迎える。この日のために働いたお金を全てつぎ込む若者も少なく無い。この年、僕も二十歳になり、成人式に参加した。
衣装とまではいかないが、自分なりに精一杯のお洒落をした。成人式に出かける前に、母が曽祖父の形見の腕時計を僕にくれた。写真家になりたかった曽祖父は、きっとどこかで僕が写真の道に進んだことを喜んでくれていると思った。
北九州の黒崎駅近くにある「エビス屋昼夜食堂」は地元の人で知らない人はいない食堂だ。創業64年のエビス屋は月曜日以外は24時間営業している。夜勤を終えた人が朝からおかずをつまみに一杯飲んでいる
。昼はサラリーマンで満員、夜中はクラブ帰りの若者で賑わっている。ショーケースに並んだおかずを指差すだけで注文できるので、日本語のわからない外国人のお客さんもよく見かける。ある初夏の夕方、エビス屋の前で見かけた青年。煙草を吸い終わるとお店の中に消えて行った。
COVIDー19のSTAY HOME期間、胃癌で闘病中の大伯父は病院の通院以外は一切外に出ることがなかった。外に出るという行為が自らの命を危険に晒してしまうとわかっていたからだ。病気を患うまで大伯父はアウトドア大好き人間で、釣りや山歩きを楽しみ、うなぎを釣っては蒲焼きと白焼きをマンションのベランダで作って食べさせてくれた。山からタラの芽を取ってきて天ぷらにしてくれたり、ゼンマイやワラビを沢山取ってきてくれた。そんな大伯父が全く外に出られなくなって、日に日に元気が無くなっていった。心配した僕と母は二人で毎週大伯父の様子を見に行った。STAY HOMEが解除される頃には、抗癌剤で抜け落ちていた髪もすっかり伸び、新たに口髭まで伸ばしていた。やっと釣りや山歩きができる様になったと大伯父が嬉しそうに笑った。
Exhibition Information
- Past Exhibitions
- 写真展「4と1展〜今までと今の作品集〜」07.31.2020 - 08.25
Artist
写真家・アーティスト
1998年福岡県北九州市生まれ。子どもの頃から母親の仕事関係の海外ミュージシャンと過ごし、音楽やアートに溢れた環境で育つ。17歳の時、ジャマイカのゲットーに借家し地元の人々の日常をカメラに収める。帰国後、写真展「SMILE JAMAICA」を開催する。
日本でも海外でもストリートに立ち、独自のカルチャーが感じられる人たちに声をかけポートレイトを撮り続けている。常に被写体へのリスペクトを忘れず、近距離から撮影するスタイルを貫いている。
アーティスト名の¥VE$は、日本でも海外でも活躍できるようにとの思いから、Yを¥にSを$と表記している。
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現在、写真学科の大学4年生です。COVID-19の影響で学内施設も使用できない状況の中、今できる範囲で工夫しながら卒業制作を進めています。ご支援いただけましたら、卒業制作の制作費として使わせていただきます。