
About the Work
- 制作年
- 2020
- 素材・技法
- アクリル, その他
- サイズ
- 35 × 41 × 10 cm
- エディション
- 1点物、ユニーク
- サイン
- 未設定
- クレジット
- ©GALLERY TOMO
- 額装
- なし
- 作品証明書
- 未設定
- カテゴリー
- 彫刻
- スタイル
- 抽象
Work Details
可視の臨界点 03
2020年10月、京都の鴨川に突然蒼い鞄が現れた。
これだけではなんのことかわからない。なにか特別なことが起きたのか。そうではない。
なんてことはない、鞄がただ鴨川に現れただけだ。しかし、鞄がそこに存在した約1時間の間で、それは道行く人の目を引き付けたり、もしくは全く気付かれなかったり、もしくは鞄という作品を連れ出している我々の顔を怪訝そうに見る人もいたし、ランニング等の運動に一生懸命な人や恋人同士の語らいに夢中の人もいた。
外は鑑賞者の分母の数はギャラリーの比では無い。
川には人間だけでなく鷺やカラス、鳩や鵜など鴨川をいつも賑わせている自然界のレギュラーメンバーがおり、彼らは人間をとても良く見ている。我々が手にする蒼い物体が何であるかは彼らにしか解釈できない。おそらく、食べ物ではないと判断したようだ。
我々は、特に鳥に作品を見せたくて外に出たわけではない。ただ、人間だけでなく、様々なストーリーが絡み合い存在する世界で、ロケーションの意味を感じたくて作品を外に連れ出した。
篠原猛史は、およそ20年前から持ち運びできるアートというテーマについて思考してきた。
アートは一般的に観る側、作る側の関係性で成り立っているが、とりわけ鑑賞者の体験知が重要ではないかと考える。
体験知とは、展示を空間にインストールしたらそれまでというわけではなく、様々な「場」を設定することでそれぞれにとっての関係性が変化し、よりリレーショナルなものになるという指標でもある。
この作品は作品と社会、それぞれの関係性が断絶せずに互いがもっと入っていける関係性を作れないかという篠原のベクトルの表れだ。
人も作品ももっと外に出ていって体験を共有できないか、
これからの現代美術とは、発見や体験知、経験値を共有できるものが大事になってくるのではないか、
バーチャルのリアリティを訴求して、結局リアリティに近づいても実現はできないのではないか、こういった思いから、このシリーズは生まれた。
作品のナンバリングは出来上がった順番である。
GALLERY TOMO
Exhibition Information
- 過去の展示
- 篠原 猛史 -生の臨界点-2023.11.10 - 11.25篠原 猛史「可視の臨界点」2020.11.14 - 11.28
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Artist
アーティスト
所属ギャラリー
京都生まれ 1969 ノルウェーにて滞在制作 1973 大阪芸術大学芸術学部デザイン学科卒業 1981 プラット・インスティトュートドローイング専攻卒業(ニューヨーク/アメリカ) 1982 バンクーバー(カナダ)で環境彫刻を学ぶ (公費留学) 1989 アクラ (ガーナ)にて環境造形を学ぶ 1995 フランス・マゼレール・セントラム(ベルギー)で学ぶ (公費留学) 2001 フィンランド、ベルギーでデザインを学ぶ 2004 アーネム(オランダ)にて芸術設計を学ぶ 2005 オーウルゴーウルデン・ラボ(スウェーデン)で芸術設計を学ぶ (公費留学) 2006 ニース・ラボ(ベルギー)にて芸術設計を学ぶ (公費留学) 篠原猛史は京都市に生まれ、1981年にNYのプラット・インスティテュートのドローイング専攻を卒業。その後はベルギーを中心に、カナダ、ガーナ、フランス、北欧など様々な国々を拠点としながらその芸術を磨き上げてきました。初めに渡ったNYではヨーゼフ・ボイスの薫陶を受けその社会彫刻の概念を参照し、また親交のあったキース・へリングとは互いの作品を交換するなど知己を得て、80年代よりその名を知られ始めました。00年代に入ってから現在は日本国内に拠点を移し、東京大学の講師としても活動しています。 篠原の作品は立体と平面、抽象と具象の区別は特にありません。そして風、水、火や音などあらゆるものを素材と見立てて作品を構成させます。これらは単なる造形の構成でもなければ、抽象的なコンセプトの主張でもなく、自然の絶えざる循環と人間の営為によるその関係性といった、現実的な問題についての表現なのです。 そして、篠原は自らが晩年に差し掛かったことを認識しました。自然と人工の対峙に生と死。さまざまな要素の間には境界があり、明確に差異(区別)が存在します。自らの命の期限を感じるのは誰でも寂しいものだろうと考えますが、篠原は依然生きており、今しかない時間を作品にしています。アーティスト、ギャラリスト、鑑賞者。それぞれが作品に対して向かい合う時に、全反射が起きる時を待つのが、近年の「臨界」シリーズと云えます。 近年の制作はまさにこの「臨界」というキーワードに基づいています。これらの作品群にはとにかく青がほとばしります。そうした中、鑑賞者はその青を認識しますが一見するとただの青かもしれません。しかしこれは永続する時間の表象として存在します。作家の根幹をランガーシュ(視覚化)した言語としての色です。 「可視の臨界点、2020」では改めて社会とアートの関係性を再確認し、京都は鴨川でのインスタレーションも行いました。そこからの2つの展示「月行観天望気論、2021」、「月の臨界角、2022」では、作品がより作家内側からの発露に基づいた形で表現されており、篠原の人生を分類したかのようなP12号のショートストーリーの連作は人生のページをめくる走馬灯のように鑑賞者の視界を経て脳内へと逡巡します。絵も音楽も認識する人がいて絵や音楽として存在しますが、これらの作品はその篠原自身を分類し、鑑賞者と一体となって作品を構成します。それは命の在り方から芸術作品の在り方、定義なども見直すきっかけをくれるものです。 近年の主な個展は、「生の臨界点」GALLERY TOMO(京都、2023)、「月の臨界角」松坂屋上野店外商サロン(東京、2023)など。近年出展したアートフェアとしてACK (国立京都国際会館、2021、2022)、art KYOTO 2023 (元離宮二条城、2023)、アートフェア東京2023 (東京国際フォーラム、2023)など。彼の作品は、大英博物館(イギリス)を筆頭に、ヘント市立現代美術館(ベルギー)、愛知県美術館(名古屋)、国立国際美術館(大阪)など、数多くの著名な公共及び民間のコレクションに収蔵されています。 GALLERY TOMO
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