大石 珠世
版画家、シルクスクリーンアーティスト
版画家、シルクスクリーンアーティスト
2022年 女子美術大学 美術学科洋画専攻版画コース 卒業
2022年 女子美術大学大学院美術研究科版画研究領域博士前期課程 入学
2024年 女子美術大学大学院美術研究科版画研究領域博士前期課程 修了
専門版種はシルクスクリーンです。日々、愛着を感じた植物のいる風景を色彩のドットの重なりがぶつかり合う画面を表現しています。
私の作品には、ドットで表現した部分がある。風景の中に描かれたドットは、色彩の曖昧さと生命がひしめいている印象を与える。私は都会にある自然の記憶を、ドットの重なりで画面に再び蘇らせている。すると、虚構の自然が画面上に生まれる。そこには、存在の曖昧さが孕み、変わりゆく都会の自然の状況と重なる。ドットの版は、丸型のシールをランダムにフィルムに貼って作っている。私が表現に選ぶシルクスクリーンは何層も刷るうちに、インクの厚みが伴い物質的に色の重厚感が生まれる。画面には様々な色が見え隠れし、偶然の色の重なりによってできた微かな色の混ざりあいやテクスチャーが面白い。
また、私が都会の自然を選ぶ理由について語りたい。開発や工事で景色の変化が激しい都市部で、自然のある場所を見つけると安心感と、取り壊されてしまうのではないかという不安感をいだく。このような感情の裏には、人の手が及ばない不変的な自然と、永遠ではない自然の存在をよく知っているからだと気づいた。幼少期から今まで、度々母の田舎へ赴いた際、都会と異なる原風景に毎回感動する。対して、私が住む都会は、建設や開発が進み周りの景色の変化が激しい。田舎は昔と景色が変わらないのに、都会の景色は記憶が追いつかないうちに変わっていくことにギャップを感じていた。とはいえ、都会で、雑草に溢れている荒れ放題の場所を発見することがある。そこにはすべてを取り除けない残された自然を愛する人間の精神性を感じ、シンパシーを感じる。人為的ではあるものの、それは都会に残された自然の風景である。私はその都会の風景に心惹かれる。
未来にも存在する風景とは限らないが、確実に存在していた自然の記憶を残してもらうため、私はその風景を選び続けている。