山本 尚志

フタ

フタ

山本 尚志

About the Work

制作年
2019
サイズ
25 × 27.2 × 2.5 cm
エディション
1点物、ユニーク
サイン
未設定
額装
なし
クレジット
ⓒ Hisashi Yamamoto, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

Work Details

Material: 墨、和紙

Year: 2019

Size:25 x 27.2 x 2.5 cm (パネル装)

Unique

Yumiko Chiba Associatesから作家への手紙

山本の書は、見るたびに立体感のある力強い筆致と突出した言葉選びとのギャップに感心してしまいます。文字を認識すると同時にその文字の世界観がググっと全面に押し出されてきて、平面のはずの文字が3Dとして空間化されていくのがまたすごいです。

選ばれた言葉にはそれぞれ必ずエピソードや物語があり、その背景には繋がっている世界との独自の関係性があります。ですが、その世界観を知り得なくても、一目みて楽しめる作品です。

作務衣を着ている姿を見ると、山頭火かわだばゴッホなのか(棟方志功)?!とつっこみたくなりますが、本人はいたって真面目、一本毛が抜けたような人です。

作品の物語

「フタ」2020年について。

昨年8月に母親が亡くなり、年末の個展に向けて既に提出していたプランでは、作品が全く作れなくなりました。いつも明るめの作品を作っていたのですが、こういう時ばかりはなかなか意に沿ったものができるわけでもないことを痛感しました。

そこでプランを全く変えて、母親とその死をテーマに作品を作らざるを得なくなった、この作品にはそんな背景があります。

個展タイトルは「入口と出口とフタと底」。その全容はこちらで紹介されています。

この世への「入口」とは母親の子宮口、この世からの「出口」はどこにもない。反転した文字で想像するしかなく、また赤ん坊は出っ張った突起(ピラミッドの上を切ったような形、母親の乳房の比喩)にしがみついても、もう母体へは二度と戻れない。「フタ」は避けられない別れ、そして「底」は諦念であり、新たな地平を指して述べたもの。

そんなイメージで制作を行いました。自分の新しいアトリエとなった、母親の居室で。これはその時の写真。下の個展のインスタレーションとほぼ同じ。母親の居室を守るように並べられました。

この中で何度も繰り返したモチーフの作品「フタ」をこの度は出展します。ぜひ、よろしくお願いします!

大切にしているもの

やはり、自分のつくる書道の作品が、自分にとって「書かざるを得ない何か」になっているかいないか、というところでしょうか。

上のシリーズもそうなのですが、私の作品は特に書きたいものを書いているわけではないんですね。

それよりも、もっと切実で書かざるを得ないもの、今の今、書くべきである何か。それは例えユーモラスなものであっても、中に何かしらの意味が含まれているものです。

これまでの書家は、書いたものは自分の好きな言葉や詩歌がほとんどでした。つまり、書家が書いた文字の書きぶりが素晴らしければそれでよかった、そんな時代が長くありました。

それをこじ開けようとした井上有一・森田子龍・篠田桃紅らの活躍した戦後の前衛書の運動以降、書家からの目立った芸術運動としての書道作品は見られなくなりました。

しかし、そうではいけない。そのように考えながら活動してきました。

書家は書家である前に、今を表現する現代アーティストでなくてはならないと、今の今、私は考えているのです。

Exhibition Information

過去の展示

Artist

山本 尚志

アーティスト

1969年 広島県生まれ
1991年 ウナックトウキョウにて井上有一カタログレゾネのための作品整理に携わる。
広島県在住

最終更新日2020.06.30